新卒で採用した若手社員の3人に1人が、3年以内に辞めていきます。採用活動にかけた費用も、新入社員研修やOJTに使った時間も、退職した時点で回収できなくなります。労働人口の減少と人手不足が続くいま、若手人材の確保と流出の防止は、多くの企業にとって喫緊の課題です。
若手社員の離職で難しいのは、辞める直前まで不満が表に出てこないことです。入社して間もない社員ほど、上司に不満や悩みを伝えることをためらいます。「まだ新人だから」「評価に響くかもしれない」と考え、一人で抱えたまま、ある日突然退職を申し出ます。
この記事では、若手社員の離職率の現状と特徴、辞める理由と兆候、効果的な対策と進め方のステップ、対策がうまくいかない理由、入社からの時期別に押さえることを、厚生労働省の統計と自社の実態調査(2025年12月・正社員463名)をもとに解説します。
出所:株式会社yellba「組織サーベイ実態・意識調査」(2025年12月/全国の正社員 n=463/インターネット調査)。統計は出典ごとに記載。
若手社員の離職率の現状
新卒の3年以内離職率は3割を超える
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2025年10月公表)によると、2022年3月に卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した人の割合は大学卒で33.8%、高校卒で37.9% でした。前年よりわずかに低下したものの、大学卒で3人に1人、高校卒では4割近くが3年以内に辞めている状態が長く続いています。
事業所の規模別に見ると、差はさらにはっきりします。大学卒の3年以内離職率は、1,000人以上の事業所では 27.0% ですが、30〜99人では 41.9%、5〜29人では 52.0%、5人未満では 57.5% に上ります。高校卒でも、5〜29人で 54.6%、5人未満で 63.2% です。規模の小さな事業所では、新卒の半数以上が3年以内に辞めています。人員に余裕のない中小企業ほど、若手が1人辞めたときの影響は大きくなります。
| 事業所規模 | 大学卒 | 高校卒 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 57.5% | 63.2% |
| 5〜29人 | 52.0% | 54.6% |
| 30〜99人 | 41.9% | 45.2% |
| 100〜499人 | 33.9% | 36.7% |
| 500〜999人 | 31.5% | 29.9% |
| 1,000人以上 | 27.0% | 26.3% |
出所:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年10月24日公表)。2022年3月卒業者の就職後3年以内の離職率。
なお、全体の離職率は厚生労働省「令和7年雇用動向調査」(2026年8月公表)で 13.7% でした。全体が落ち着いている中で、若手の早期離職だけが高い水準にとどまっていることがわかります。
若手が「辞めること」への抵抗感は小さくなっている
かつては、新卒で入った会社に長く勤めることが当たり前とされていました。時代は変わり、いまは転職が一般的になりました。若手社員にとって、自分の軸に合わなければ早めに次を探すことや、キャリアアップのために現職を離れることは、自然な選択肢です。働き方改革によって、多様な働き方を選べる会社も増えています。Z世代と呼ばれる若い世代は、一つの企業に依存せず、自分の価値観に合う働き方やキャリア形成を重視する傾向があるといわれます。
これは若手の忍耐力が足りないという話ではありません。働く側の前提が変わったのに、受け入れる企業側の育て方や関わり方が従来のままであることが、離職率が高止まりしている背景にあります。
いまの若手社員に見られる特徴
近年の若手社員には、次のような特徴があるといわれます。もちろん個人差は大きく、年齢だけで決めつけるのは避けるべきですが、関わり方を考える手がかりにはなります。
- 納得と共感を重視する:指示の理由や仕事の意味に納得できると、積極的に動く
- 成長とキャリアへの関心が高い:この会社で何が身につくのかを早い段階で問う
- 安定と自分らしさの両方を求める:長く働ける安心感と、個人の価値観に合う働き方の両立を望む
- 情報を比較して判断する:転職サイトやSNSで他社の働き方や収入を知っており、自社の環境を比べている
こうした若手の特徴やニーズに合わせて、育て方と関わり方を見直すことが、離職防止の出発点になります。
若手社員の離職が企業にもたらす損失
採用と育成にかけたコストが失われる
新卒1人を採用するには、求人広告や説明会、面接などの採用活動に多くの採用費と工数がかかります。入社後も、新入社員研修やOJT、先輩社員の指導に時間を投じます。戦力になる前に辞められると、こうした投資はほぼすべて損失になります。採用コストや教育費、人件費だけでなく、社員研修やOJTを担当した社員の時間も無駄になり、人材育成の計画そのものを見直すことになります。
残った社員の負担が増え、離職が連鎖する
若手が抜けた穴は、同僚や先輩が肩代わりします。欠員の増加は、そのまま残った人の負担になります。残業や休日出勤が増えてチーム全体の生産性が下がり、職場環境が悪化します。負担増に耐えかねた社員がまた辞め、退職者が続く。特に、同期が辞めると「自分も辞めてよいのではないか」と感じる若手は少なくありません。離職は連鎖し、職場全体が離職の悪循環に陥るリスクが高まります。
企業イメージが下がり、採用が難しくなる
若手の離職が続く会社は、口コミサイトやSNSでネガティブな評判が広がり、次の採用活動にも悪影響を与えます。調査では、心理的安全性が低い職場の社員のうち、口コミサイトやSNSにネガティブな投稿をする意向がある人は 45.5% に上りました。労働人口が減っていく中で、企業イメージの低下は採用の困難さに直結します。
次の世代のリーダーが育たない
若手の離職は、目の前の欠員だけの問題ではありません。将来の管理職として、リーダーシップを発揮するはずだった人材が抜けることで、中長期的な組織の力が落ちていきます。若手の新しい視点や発想が生まれにくくなることも、見えにくい損失です。若手の離職理由として、多くの調査が人間関係や成長の実感を挙げています。言い換えれば、職場の関わり方次第で、防げる離職は少なくありません。
若手社員が辞める主な理由
入社前のイメージと仕事内容が違う
最も多いのが、入社前に描いていた仕事と、実際の仕事内容とのギャップです。説明会や面接で聞いていた話と配属先の実態が違う、希望していない部署に配属された、といったミスマッチは、早期離職の大きな要因になります。入社前の情報不足が、入社後の失望を生むケースは少なくありません。
労働条件・労働環境が合わない
労働時間が長く休日出勤が常態化している、サービス残業が横行している、有給休暇が取りにくい、給与や福利厚生などの待遇が仕事の負担に見合わない。こうした労働条件への不満は、若手に限らず離職理由の上位に挙がります。ワーク・ライフ・バランスを重視する若手にとって、残業時間の多さや柔軟な働き方ができないことは、会社を選び直す十分な理由になります。
人間関係や上司との関係がうまくいかない
上司と部下のコミュニケーションが少なく相談しにくい、同期同士のつながりがなく職場で孤立している、ハラスメントがある。入社したばかりの若手にとって、職場の人間関係は仕事の手ごたえ以上に日々のストレスを左右します。上司の何気ない一言や、周囲に質問しにくい雰囲気が、退職を考えるきっかけになることもあります。上司との関係性は、若手の離職に最も強く影響する要素の一つです。
成長している実感が持てない
同じ作業の繰り返しで、自分が成長している実感ややりがいが持てない。自分の能力や強みを生かせる仕事を任せてもらえない。この会社で働き続けても、どんなスキルが身につき、どんなキャリアが描けるのかが見えない。成長意欲の高い若手ほど、キャリア形成への不安から早めに転職を考えます。新しい知識やスキルを習得する機会や、チャレンジできる仕事の不足は、若手の離職の大きな原因です。
評価に納得できない
何をすれば評価されるのかがわからない、頑張っても正当に、公平に評価されない。人事評価の基準が曖昧な職場や、給料の上がり方が見えない職場では、こうした不満が生じやすくなります。若手は評価の経験が少ない分、評価の理由が説明されないと不信感を抱きやすくなります。努力が報われないと感じた若手は、仕事へのモチベーションを失っていきます。
会社の将来や方向性が見えない
会社がどこを目指しているのか、自分の仕事がどんな目的につながっているのかが理解できないと、若手は自分がこの会社にいる意味を感じにくくなります。経営の方針や会社の課題が共有されていないことも、会社への信頼や帰属意識が育たない原因になります。
若手社員の離職の兆候
離職を考え始めた若手社員には、次のような変化が表れることがあります。
- 会議やミーティングで発言しなくなる
- 上司や先輩への質問や相談が減る
- 定時ちょうどに帰るようになり、雑談にも加わらなくなる
- 遅刻や欠勤、急な休暇が増える
- 新しい仕事に前向きな態度を見せなくなる
- 面談で「特に問題はありません」と答えるようになる
ただし、若手の場合は兆候そのものが出にくいことに注意が必要です。若手は不満を言わないまま辞めていきます。上司が「最近おとなしいな」と気づいたときには、すでに転職活動を始めていることも珍しくありません。兆候を察知することよりも、兆候が出る前に本音を話せる場をつくることのほうが、離職防止としては確実です。現場の上司が「辞めそうな人を探す」視点から、「言いにくいことを言える関係をつくる」視点に切り替えることが大切です。若手が黙って辞めていく構造については「若手は、黙って辞める」でも解説しています。
若手社員の離職防止に効果的な対策
対策を講じる前に、自社の若手がどこでつまずいているのかを確かめておきます。これらの対策は、どれか一つで離職が止まるものではありません。若手の定着を図るには、原因に応じて組み合わせることが必要です。既存の制度をそのまま増やすのではなく、原因に合った手を打つことが成功の近道です。
採用時に、仕事の実態を正直に伝える
ミスマッチを減らすには、採用の段階で仕事の大変な面や職場の課題も含めて正直に伝えることです。良いイメージだけで採用しても、入社後のギャップで辞められれば採用コストは無駄になります。社員との座談会や職場見学、インターンシップで、入社後の働き方を具体的にイメージできる機会を設けます。内定から入社までの期間も、内定者との連絡を絶やさず、不安を解消しておきます。
入社後のオンボーディングとOJTを設計する
入社後の最初の数か月は、若手の定着を大きく左右します。仕事の進め方や社内のルールを体系的に学べるよう、社員研修とOJTを組み合わせたトレーニングの計画を準備しておきます。新入社員研修で終わりにせず、配属後のOJTで誰が何を教えるのか、いつまでにどこまでできればよいのかを明確にします。教育をおろそかにしないよう、教える側の先輩任せにせず、育成の担当者と人事部門が進捗を確認し、つまずいている若手を早めにフォローアップします。
メンター制度で、上司以外の相談相手をつくる
メンター制度やブラザー・シスター制度で、年次の近い先輩を相談相手としてつけます。直属の上司には言いにくい悩みも、評価に関係のない先輩になら話せることがあります。若手の立場に寄り添って話を聞いてくれる相手がいるだけで、安心して働ける環境に近づきます。メンター制度を導入するときは、メンター役の社員に、話を聞くだけでなく、必要に応じて人事に共有してよいことを伝えておきます。制度をつくって終わりにせず、運用の状況を定期的に確かめることが大切です。
上司との1on1で、本音を話せる関係をつくる
上司との定期的な1on1や面談は、若手が不安や悩みを話せる対話の場になります。大切なのは、業務の進捗確認で終わらせず、若手本人の困りごとやキャリアの希望を聞くことです。日常の会話を重ね、丁寧に信頼関係を築くことが、本音を話してもらうための土台になります。そして、聞いた話に対して、できることとできないことを返すことです。話しても何も変わらない面談は、かえって若手の不信感を強めます。1on1の進め方は「1on1の効果的なやり方」にまとめています。
上司自身のマネジメントスキルを高める研修も欠かせません。若手の離職は、上司との関係で決まることが多いからです。部下の話を最後まで聞く姿勢や、本人の考えを引き出し行動を促す問いかけは、意識して身につける必要があります。上司に求められるのは、指示を出すことより、若手が相談できる関係を構築することです。
キャリアデザインを一緒に考え、成長の機会をつくる
若手が「この会社で成長できる」と思えるよう、キャリアデザインを上司と一緒に考える機会を設けます。将来どんな仕事に就けるのか、そのためにどんなスキルを身につければよいのかを示し、研修や資格取得、スキルアップの支援につなげます。若手一人ひとりの目標を上司と共有し、長期的な成長を会社としてサポートする姿勢を見せることが重要です。少し背伸びが必要な仕事を任せ、できたことをきちんと伝えることも、成長の実感を生みます。若手が自分で考えて動く経験を重ねるほど、自律的に働く力が育ち、主体的にキャリアを考えるようになります。
労働環境とワーク・ライフ・バランスを整える
長時間労働が常態化している職場では、他の対策の効果も出にくくなります。業務の効率化で残業を削減し、有給休暇を取りやすい雰囲気をつくります。勤務の実態を数値で把握し、特定の若手に負担が偏っていないかを確かめます。フレックスタイム制や在宅勤務、育児と両立できる制度など、柔軟な働き方を取り入れ、選べる環境を整備することも、ワーク・ライフ・バランスを重視する若手の定着に効果があります。
評価の基準と理由を伝える
評価基準を若手にもわかる言葉で示し、評価の結果だけでなく理由を伝えます。若手のうちは、成果だけでなく成長の過程や努力も評価の対象にし、できるようになったことを具体的にフィードバックします。表彰制度や日常的な感謝の言葉も、若手のモチベーションと愛着を高めます。給与や待遇の仕組みを説明し、どうすれば収入が上がるのかを示すことも、若手の安心につながります。評価が適切に行われていると感じられることは、若手のパフォーマンスの向上にもつながります。
会社の方向性と、若手への期待を言葉にする
経営の方針や会社の課題を、社内報や全体会議などで若手にも情報共有し、自分の仕事が会社の目標にどうつながっているのかを伝えます。「あなたに何を期待しているのか」を上司が言葉にして伝えることは、若手にとって働く意味を感じる大きなきっかけになります。会社の目指す方向を見据えて仕事ができると、若手も課題解決に関わるメンバーの一人としての自覚が生まれます。
若手の声を拾い、反映する仕組みをつくる
上司や先輩に言えない声を拾うには、匿名で意見を届けられるアンケートやサーベイを実施することも有効です。エンゲージメントや従業員満足度を指標として追い、若手の状態を可視化しておけば、離職の芽に早く気づけます。従業員の声を集めるツールを導入し、日常的に活用する企業も増えています。ただし、集めた声に応えなければ逆効果になります。調査では、サーベイや面談で「すべて本音で答えている」社員は 10.8% にとどまり、本音を控える最大の理由は「言っても何も変わらないから」(35.0%)でした。声を集めたら、何を変えるのか、何は変えられないのかを若手に返すところまでが対策です。
若手社員の離職防止がうまくいかない理由
対策を入れているのに若手の離職が止まらない会社には、共通するつまずきがあります。
「最近の若手は」で片づけている
若手が辞める理由を「忍耐力がない」「最近の若い人はすぐ辞める」と世代の問題にしてしまうと、職場の側の課題が見えなくなります。会社の弱みや職場の居心地の悪さに目を向けないまま、若手の側だけを変えようとしても、離職は減りません。辞めた若手が何に悩んでいたのかを確かめないまま対策を選べば、的外れになりやすくなります。
入社直後だけ手厚く、その後を放置している
新入社員研修や最初の数か月のフォローは手厚くても、2年目、3年目になると急に放置される会社は少なくありません。3年以内の離職は、入社直後だけでなく、仕事に慣れて先が見え始めた2〜3年目にも起きます。フォローの手を緩める時期こそ、キャリアの悩みが大きくなる時期です。
上司一人に任せきりにしている
若手の育成と定着を直属の上司だけに任せると、上司との相性がそのまま離職につながります。若手の定着は、人事部門と現場が一緒に取り組む課題だという認識が不可欠です。社内の複数の人が関わることで、若手の変化にも気づきやすくなります。上司が忙しくて話を聞く余裕がない職場では、若手は相談する相手を失います。人事部門やメンター、他部署の先輩、チーム内の同僚など、複数の関わりを用意しておくことが大切です。
声を聞いても、返していない
面談やアンケートで若手の声を聞いても、その後どうなったのかが伝わらなければ、若手は「言っても無駄だった」と学びます。調査では、結果や改善状況が共有されていると感じる社員は 25.9% にとどまりました。聞くことと返すことは、セットで設計する必要があります。
若手社員の離職防止を進める4つのステップ
対策を効果的に進めるには、思いつきで施策を増やすのではなく、次の順番で取り組みます。
ステップ1:現状を把握する
まず、若手の定着率や早期離職率を部署別・入社年次別に確認します。数字だけでなく、在職中の若手へのヒアリングやアンケートで、何に悩んでいるのかを具体的に把握します。辞めた社員の退職理由は建前であることが多いため、在職中の声を重視します。若手層の声を集める場や手段を会社として提供することも、この段階で必要です。
ステップ2:原因を特定する
集めた情報から、離職の原因がどこにあるのかを絞り込みます。採用時のミスマッチなのか、配属後のフォロー不足なのか、上司との関係なのか、評価や待遇なのか。原因によって、打つべき手はまったく違います。
ステップ3:対策を選び、実行する
原因に合った対策を選び、担当者と期限を決めて実行します。他社の成功事例をそのまま真似るより、自社の原因を解決できる手法を選ぶほうが、効果を得られる可能性は高くなります。すべてを一度に実現しようとせず、効果が大きく、すぐに着手できるものから始めます。対策の内容は若手にも伝え、会社が本気で取り組んでいることを示します。
ステップ4:効果を確かめ、改善を続ける
対策を実施したら、定着率やサーベイの結果、若手の声の変化で効果を確かめます。効果が出ていなければ、原因の見立てに戻って検討し直します。この流れを繰り返すことで、自社に合った離職防止策が育っていきます。
若手がどこでつまずいているのかを、辞める前に特定する
EXギャップファインダーは、入社から退職までの15のプロセスと9つのカテゴリで、社員がどこでつまずき、何に不満を持っているのかを読み解く深層型の組織診断サーベイです。入社1年目の社員には専用の14の設問で、入社前の期待と実際のギャップやオンボーディングの課題を確かめます。上司には言えない若手の本音を、在職中に明らかにします。
EXギャップファインダーを見る入社からの時期別に押さえること
若手のつまずきは、入社からの時期によって変わります。時期ごとに、何を見て、どう関わるかを決めておくと、フォローの抜け漏れを防げます。
| 時期 | 若手が抱えやすい悩み | 会社が押さえること |
|---|---|---|
| 内定〜入社 | 入社後の働き方が想像できない不安 | 仕事の実態を正直に伝える、内定者フォロー |
| 入社〜3か月 | 職場に慣れない、誰に聞けばよいかわからない | オンボーディング、メンターの設定、短い間隔での面談 |
| 3か月〜1年 | 理想と現実のギャップ、成長の実感がない | OJTの進捗確認、できたことのフィードバック、1on1 |
| 2〜3年目 | 将来のキャリアが見えない、仕事が単調 | キャリア面談、新しい役割や挑戦の機会、評価の説明 |
入社1年目は「慣れる」ための支援、2〜3年目は「先が見える」ための支援が中心になります。入社直後の不安をスムーズに解消できるかどうかが、その後の定着を左右します。同じ若手でも、時期によって必要な関わり方は異なります。
上司が若手社員と話すときのポイント
若手の離職防止で最も影響が大きいのは、日々接する上司の関わり方です。若手と話すときは、次の点を意識します。
- 答えを急がない:悩みを聞いたら、すぐに助言せず、まず最後まで話を聞く
- 評価と切り離す:相談の内容を評価に使わないことを、言葉にして伝える
- 小さなことでも返す:聞いた話に対して、何をするか、何はできないかを伝える
- 期待を伝える:「あなたにこれを任せたい」と、役割と期待を言葉にする
- 自分から声をかける:若手からの相談を待たず、上司から定期的に声掛けをする
- 関心を示す:仕事の成果だけでなく、若手の考えや実務での困りごとに関心を向ける
話しやすい雰囲気をつくることは、チームのコミュニケーションを活性化し、オープンに意見を言い合える風土を醸成する第一歩です。若手は、上司が自分の話をどう扱うかをよく見ています。一度でも「話したら評価が下がった」「話しても何も変わらなかった」と感じさせると、次からは本音を話さなくなります。
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よくある質問(FAQ)
若手社員の離職率はどれくらいですか?
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2025年10月公表)では、2022年3月卒業者の3年以内の離職率は大学卒で33.8%、高校卒で37.9%でした。新卒の3人に1人が3年以内に辞めている計算です。
若手社員が辞める一番の理由は何ですか?
入社前のイメージと実際の仕事内容のギャップ、労働条件への不満、上司や職場の人間関係、成長実感のなさなどが主な理由です。複数の理由が重なっていることが多く、本人が会社に伝える理由と本当の理由が違うこともあります。
若手の離職を防ぐために、まず何をすればよいですか?
最近辞めた若手や、在職中の若手が何に悩んでいるのかを確かめることから始めます。原因がわからないまま施策を選ぶと的外れになりやすくなります。そのうえで、採用時のミスマッチ対策と入社後のフォローを見直します。
若手の離職防止で、上司は何をすればよいですか?
日常的に声をかけ、業務の話だけでなく若手の困りごとやキャリアの希望を聞くことです。聞いた話には、何をするのか、何はできないのかを返します。相談した内容を評価に使わないことを伝えると、若手は安心して話せるようになります。
メンター制度は効果がありますか?
上司以外に相談できる相手ができるため、若手が悩みを一人で抱え込むのを防ぐ効果があります。ただし、メンター役の先輩に任せきりにせず、必要に応じて人事が状況を把握できる仕組みにしておくことが大切です。
入社2〜3年目の社員にはどんなフォローが必要ですか?
仕事に慣れた2〜3年目は、将来のキャリアが見えないことや仕事の単調さに悩みやすい時期です。キャリア面談で将来の方向を一緒に考え、新しい役割や挑戦の機会をつくることが効果的です。
若手が本音を話してくれないのはなぜですか?
話した内容が評価に響くのではないか、話しても何も変わらないのではないか、と考えているためです。相談の内容を評価に使わないことを伝え、聞いた話に何らかの形で応えることで、少しずつ本音を話せる関係ができます。
Z世代の若手にはどう接すればよいですか?
世代でひとくくりにせず、一人ひとりの価値観やキャリアの希望を聞くことが基本です。そのうえで、仕事の意味や自分への期待をきちんと言葉にして伝えること、成長の実感を持てる機会をつくることが定着につながります。
若手の離職防止にサーベイは役立ちますか?
上司や先輩に言いにくい不満や要望を把握する手段として役立ちます。若手の状態を定期的に数値で捉えることで、変化にも気づきやすくなります。匿名性の範囲を明確にし、結果と対応を若手に返すところまで設計すれば、離職の芽を早めに見つけることができます。
若手が「言える」職場が、辞めない職場になる
若手社員の離職防止に、特別な施策は必要ありません。採用時に正直に伝えること、入社後に相談できる相手をつくること、成長の道筋を示すこと。そして何より、若手が不安や不満を口にできる関係をつくり、その声に応えること。若手が黙って辞めていく前に、話せる場をつくることが、最も確実な対策です。若手の声は、会社の課題を映す存在でもあります。その声を生かせる会社は、若手が辞めない職場を生み出し、組織の強みを育てていけます。
