エンゲージメントとは? ── 意味・種類と、高める方法をわかりやすく解説【463名調査】

エンゲージメントとは、ビジネスでは主に、従業員が会社や組織に対して抱く愛着や信頼、自ら貢献しようとする意欲を指す言葉です。離職率の低下や業績の向上につながる指標として、人事や経営の領域で注目が高まっています。

この記事では、エンゲージメントの意味と種類、従業員エンゲージメントの要素、従業員満足度やモチベーションとの違い、注目される背景とメリット、測定方法、高める方法をわかりやすく解説します。あわせて、全国の正社員463名への自社調査から、エンゲージメントを左右する会社と従業員の関係を紹介します。

出所:株式会社yellba「組織サーベイ実態・意識調査」(2025年12月/全国の正社員 n=463/インターネット調査)。

エンゲージメントとは

英語の意味は「約束」「婚約」「誓約」

エンゲージメント(engagement)は、英単語としては「約束」「契約」「婚約」「誓約」「関与」などを意味する言葉です。婚約指輪を「エンゲージリング」と呼ぶのも、この意味から来ています。共通しているのは、相手と深く結びつき、互いに関わり合う関係性を表す点です。

ビジネスにおけるエンゲージメントの意味

ビジネスシーンでは、エンゲージメントは「関係の強さ」を表す言葉として使われます。人事の領域では会社と従業員の関係、マーケティングの領域では企業と顧客の関係を指します。昨今、企業活動の中で単に「エンゲージメント」というときは、多くの場合、従業員エンゲージメントのことです。人材の確保と定着が経営の重要なテーマになり、組織開発や人事の分野で関心が高まっています。

エンゲージメントの種類

種類対象意味
従業員エンゲージメント会社・組織と従業員従業員が会社に抱く愛着や信頼、組織に貢献しようとする意欲
ワーク・エンゲージメント仕事と個人仕事に対する熱意・没頭・活力がそろった心理状態
顧客エンゲージメント企業・ブランドと顧客顧客が商品やブランドに抱く愛着や信頼
SNSのエンゲージメント投稿とユーザー「いいね」やコメント、シェアなど、投稿への反応の量

従業員エンゲージメント

会社と従業員が対等な信頼関係で結ばれ、従業員が会社の理念やビジョンに共感して、自発的に組織の成長に貢献しようとする状態を指します。会社のミッションやビジョンを自分ごととして受け止め、仕事にやりがいを感じながら積極的に行動する従業員が多い組織ほど、エンゲージメントが高いといえます。この記事で中心に扱うのは、この従業員エンゲージメントです。

ワーク・エンゲージメント

オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らが提唱した概念で、「熱意」「没頭」「活力」の3つがそろった、仕事に対するポジティブな心理状態を指します。対象は会社ではなく「仕事そのもの」です。厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析」でも、働きがいを表す指標として取り上げられました。

顧客エンゲージメントとSNSのエンゲージメント

顧客エンゲージメントは、顧客が企業やブランドに抱く愛着や信頼の深さです。SNSのエンゲージメントは、投稿に対する反応を数えたもので、エンゲージメント率として測られます。いずれもマーケティングの言葉で、人事の文脈とは意味が異なります。

従業員エンゲージメントの定義と3つの要素

従業員エンゲージメントは、会社と従業員の間の「相互の約束」に近い関係です。会社は働く環境や成長の機会、正当な評価を約束し、従業員は自らの意思で組織に貢献する。この関係が保たれ、互いの信頼が深まるほど、エンゲージメントは高くなります。企業側が一方的に求めるものではなく、双方が支え合う関係の構築が前提です。

従業員エンゲージメントは、次の3つの要素で構成されると整理されることが多くあります。

要素内容
理解度会社の理念・ビジョン・戦略と、自分の役割を理解している
帰属意識組織の一員であることに誇りや愛着を持ち、会社の方向性に共感している
行動意欲組織の目標達成のために、主体的に行動しようとする意欲がある

3つのどれかを欠くと、エンゲージメントは高まりません。理念を理解していても共感していなければ行動につながらず、意欲が強くても方向を理解していなければ力が組織の成果に結びつきません。

従業員満足度・モチベーション・ロイヤルティとの違い

用語意味エンゲージメントとの違い
従業員満足度給与・待遇・福利厚生・職場環境などへの満足の度合い会社から受け取るものへの評価。満足度が高くても、貢献意欲が高いとは限らない
モチベーション(motivation)仕事に向かう個人の動機づけ個人の内面の状態で、日々変化しやすい。エンゲージメントは組織との関係を表す
ロイヤルティ会社への忠誠心会社が上、従業員が下という関係を前提にしやすい。エンゲージメントは対等な関係
ワーク・エンゲージメント仕事への熱意・没頭・活力対象は「仕事」。従業員エンゲージメントは「会社・組織」との関係

特に混同されやすいのが従業員満足度です。満足度は「この会社で働くことに不満がないか」を、エンゲージメントは「この会社のために力を尽くしたいか」を表します。詳しくは「従業員満足度調査とエンゲージメントサーベイの違い」で解説しています。

エンゲージメントが注目される背景

終身雇用の変化と人材の流動化

終身雇用を前提とした働き方が変わり、転職は当たり前の選択肢になりました。少子高齢化で労働力の確保も難しくなるなか、優秀な人材の流出を防ぎ、定着を図るには、会社と従業員の関係そのものを強くする必要があります。

価値観と働き方の多様化

働く目的や価値観は、個人によって大きく異なるようになりました。リモートワークの広がりで、職場での自然なつながりも減っています。一人ひとりが自律的に働きながら同じ方向を向き、仲間と円滑に協力するために、エンゲージメントが重視されています。

人的資本経営と業績への影響

人的資本経営の広がりにより、エンゲージメントを経営の指標として把握し、開示する企業も増えています。エンゲージメントは、生産性や売上・業績、企業の競争力に直結する要因として位置づけられ、持続的な成長を支える組織力の土台と考えられるようになりました。

日本のエンゲージメントの現状

米ギャラップ社の「State of the Global Workplace: 2026 Report」(2026年4月公表)によると、日本で仕事に熱意を持って取り組んでいる従業員の割合は8%(2023〜2025年の3年平均)でした。世界全体の20%(2025年)と比べて低い傾向が続いています。

エンゲージメントを高めるメリット

生産性と業績の向上

エンゲージメントが高い従業員は、仕事に主体的に取り組み、自ら工夫や改善を重ねます。一人ひとりの行動の変化が、新しいアイデアや価値の創出を促進し、組織全体の生産性と業績の向上をもたらします。目標達成への意識も高まり、成功体験が次の挑戦につながります。

離職率の低下と人材の定着

会社への愛着と信頼がある従業員は、離職しにくくなります。入社後に教育した人材が長く活躍し続けることで、採用や育成にかかるコストを抑え、組織に経験とノウハウを残せます。エンゲージメントと離職の関係は「エンゲージメントと離職の関係」で解説しています。

顧客満足度の向上

仕事に誇りを持つ従業員は、顧客への対応の質も高くなります。従業員エンゲージメントは、顧客満足度や顧客エンゲージメントにも影響します。

採用力の強化とメンタルヘルスの維持

働く人が自社を人に勧めたいと思える職場は、リファラル採用の増加や企業イメージの向上につながり、人材の獲得にも有利になります。また、人間関係や労働環境が良好で、安心して働ける組織では、心身の不調の防止にもよい影響があります。

エンゲージメントが低い職場で起きること

エンゲージメントが低下すると、指示されたことだけをこなす、会議で意見が出なくなる、コミュニケーションが活発でなくなる、優秀な人材から辞めていく、といった変化が起こりやすくなります。管理職のマネジメントや評価、報酬への不満が背景にあることも多くあります。

自社調査では、心理的安全性が低い職場の従業員の 38.6% が「12か月以内に退職を検討している」と答えました。心理的安全性が高い層の21.6%と比べて約1.8倍です。また、心理的安全性が低い層の 45.5% が、口コミサイトなどへのネガティブな投稿の意向を示しています。エンゲージメントの低さは、離職だけでなく社外での評判にも表れます。

エンゲージメントの測定方法

エンゲージメントは目に見えないため、アンケート調査で定期的に測定し、数値で可視化して現状把握を行います。

方法頻度の目安特徴
エンゲージメントサーベイ年1〜2回多くの設問で組織の状態を網羅的に測り、部署や層ごとの課題を明らかにする
パルスサーベイ週1回〜月1回少ない設問で、コンディションの変化を継続的に追う
eNPS年数回「この職場を親しい友人に勧めたいか」を0〜10点で聞き、推奨度を測る

測定する指標は、エンゲージメントのレベルを表す総合指標と、エンゲージメントを左右する要因(上司との関係、評価、成長の機会、職場環境など)に分けて見るのが一般的です。スコアの高い・低いだけでなく、どの要因がスコアに影響しているのかを明らかにすることで、正しい施策につなげやすくなります。スコアの測り方と平均の見方は「エンゲージメントスコアとは」で解説しています。調査結果は回答した従業員にも周知し、何に取り組むかを伝えることが重要です。

エンゲージメントサーベイの目的と進め方は「エンゲージメントサーベイとは」、設問の例は「エンゲージメントサーベイの質問項目・質問例60選」で紹介しています。

組織診断サーベイ

エンゲージメントを下げている原因を、構造から特定する

EXギャップファインダーは、会社と従業員の間のどこにギャップが生まれているのかを、100問以上の設問で原因の構造まで特定する診断型の組織診断サーベイです。部署や層ごとに比較でき、月額のランニング費用はなく、必要なときに1回ごとに実施できます。

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エンゲージメントは「約束が守られているか」で決まる【463名調査】

エンゲージメントの語源が「約束」であるように、従業員エンゲージメントは、会社と従業員の間の約束が守られているかどうかに強く左右されます。会社が「意見を聞く」と言いながら、聞いた内容に対応しなければ、従業員の信頼は長期的に失われていきます。

自社調査では、こうした状態が多くの職場で生じている実態が見えてきました。

調査項目結果
サーベイや面談で「すべて本音で答えている」10.8%
本音を控える理由の第1位「言っても何も変わらないから」35.0%
サーベイ結果が「十分に共有されている」2.8%

声を集めても結果が返ってこない状態が続くと、従業員は本音を控えるようになり、回答の質も下がります。会社と従業員の信頼関係は、少しずつ弱まっていきます。

会社が社員の声に誠実に対応していると…人数推奨度の平均(0〜10点)批判者の割合(0〜6点)
感じない1262.5895.2%
どちらともいえない1754.3891.4%
感じる1626.2150.0%

推奨度は「現在の会社を働く場として親しい知人や友人に勧めたいか」を0〜10点で尋ねた値です。会社が声に誠実に対応していると感じる層ほど、推奨度が高くなっています。エンゲージメントを高める出発点は、新しい制度やツールを足すことよりも、すでに交わしている約束を守ることにあります。

エンゲージメントを高める方法

エンゲージメントを高めるには、まず現状を測定し、スコアが低い原因を特定してから、原因に合う施策を設計します。他社の成功事例をそのまま取り入れるのではなく、自社の課題に向けた具体的な施策を導入することが大切です。代表的な施策は次のとおりです。

  • 理念・ビジョンの浸透:経営層が方向性を繰り返し発信し、日々の業務とのつながりを示す
  • 社内コミュニケーションの活性化:部署を越えた対話の場やワークショップ、1on1ミーティングを定期的に設け、上司が部下の話に耳を傾ける
  • 人事評価制度の見直し:評価の基準と結果の理由を明確にし、公平性と納得感を高める
  • キャリア支援と人材育成:研修や学びの機会、昇進や適材適所の配置を通じて、将来のキャリアを描けるよう支援する
  • 管理職のリーダーシップ強化:管理職がメンバーの成長を促し、チームの関係を深める力を身につける
  • 職場環境とワーク・ライフ・バランスの整備:労働時間や休暇、柔軟な働き方を整え、働きやすい職場づくりを進める
  • 従業員の声に応える仕組み:集めた意見に会社として対応し、その結果を共有する

施策ごとの進め方と、施策を並べても上がらない理由は「エンゲージメント向上の施策と進め方」で詳しく解説しています。

エンゲージメントに取り組む際の注意点

経営層を巻き込む

エンゲージメントは、人事部門だけで高められるものではありません。経営層が自らの言葉で姿勢を示し、全社の取り組みとして推進することが欠かせません。変革を現場任せにしないことが、組織風土を変える第一歩です。

測定をやりっぱなしにしない

サーベイを実施しても、結果の共有と改善がなければ、従業員は「答えても変わらない」と感じます。結果を返し、何に取り組むかを伝えるところまでを1回の調査と考えます。

中長期で取り組む

エンゲージメントは、信頼関係の積み重ねで少しずつ変化します。短期間でスコアを上げることを目的にせず、半年から1年のスパンで、継続的に測定と改善を繰り返します。数値だけでなく、職場の雰囲気や行動の変化といった側面も見ていきます。

よくある質問(FAQ)

エンゲージメントとは簡単にいうと何ですか?

ビジネスでは、従業員が会社や組織に対して抱く愛着や信頼、自ら貢献しようとする意欲を指します。英語の engagement は「約束」「婚約」「関与」などを意味します。

従業員エンゲージメントとワーク・エンゲージメントの違いは何ですか?

従業員エンゲージメントは会社・組織と従業員の関係を、ワーク・エンゲージメントは仕事そのものに対する熱意・没頭・活力を表します。対象が「会社」か「仕事」かが異なります。

エンゲージメントと従業員満足度の違いは何ですか?

従業員満足度は給与や職場環境などへの満足の度合いを、エンゲージメントは組織に貢献しようとする意欲を表します。満足度が高くても、エンゲージメントが高いとは限りません。

エンゲージメントが高いと、企業にどんなメリットがありますか?

生産性と業績の向上、離職率の低下と人材の定着、顧客満足度の向上、採用力の強化などが期待できます。主なメリットとして挙げられるのは、組織の持続的な成長の実現です。

エンゲージメントはどうやって測定しますか?

エンゲージメントサーベイやパルスサーベイ、eNPSなどのアンケート調査で定期的に測定します。総合的なスコアに加え、スコアを左右する要因を分けて把握することが大切です。

日本のエンゲージメントは低いのですか?

ギャラップ社の2026年の報告書では、日本で仕事に熱意を持って取り組む従業員の割合は8%(2023〜2025年の3年平均)で、世界全体の20%(2025年)を下回っています。

エンゲージメントを高めるには何から始めればよいですか?

まずサーベイなどで現状を把握し、スコアが低い原因を特定することから始めます。原因に合わない施策を増やしても、効果は出にくくなります。

エンゲージメントは、会社と従業員の約束から

エンゲージメントは「約束」を意味する言葉です。会社が従業員に示したことを果たし、従業員がそれに応えて力を尽くす。この関係を積み重ねることが、エンゲージメントを高め、組織の未来をつくるいちばんの近道です。まずは自社の従業員がいま何を感じているのかを知ることから始めましょう。

エンゲージメント向上

エンゲージメントを高める施策と進め方を知る

エンゲージメント向上の施策10と進め方、施策を並べても上がらない理由をまとめています。

エンゲージメント向上の施策と進め方を読む