組織サーベイの設問例60問 ── 領域別の作り方と、深掘りの追加質問

組織サーベイで成果を出すには、設問の上手さ以上に「集めた声に応答する設計」が重要です。本音をすべて話す社員は10.8%、改善状況が共有されていると感じる社員は25.9%にとどまります(自社調査)。設問づくりと同時に、結果をどう返すかまで決めておくことが、本音が集まるサーベイの条件です。本記事では、そのまま使える領域別の設問例と、改善につながる作り方を解説します。

出所:株式会社yellba「組織サーベイ実態・意識調査」(2025年12月/全国の正社員 n=463/インターネット調査)。

設問設計の3原則

  • 1問1論点:「上司と職場環境に満足か」のように2つを混ぜない。
  • 行動・事実で聞く:「満足か」より「直近1か月で相談できたか」のほうが改善につなげやすい。
  • 自由記述を1つは入れる:定量で傾向、定性で「なぜ」を拾う。

領域別の設問例60問(そのまま使えます)

各領域とも「4段階または5段階で答える設問」を想定しています。文末は自社の様式に合わせて調整してください。

1. 心理的安全性(6問)

  1. このチームでは、反対意見や懸念を安心して言える
  2. 失敗やミスを、責められずに共有できる雰囲気がある
  3. 分からないことを「分からない」と言える
  4. 直近1か月で、言おうとしてやめた意見がある(※逆転項目)
  5. 自分と違う立場の人の意見が、この職場では尊重されている
  6. 問題を指摘した人が、不利益を受けないと思う

2. 上司・マネジメント(7問)

  1. 上司は私の意見に耳を傾けてくれる
  2. 直近1か月で、上司に率直な相談ができた
  3. 上司は、決めた理由を説明してくれる
  4. 上司は、できていないことを具体的に伝えてくれる
  5. 上司との1on1は、自分にとって有益だ
  6. 上司は、自分の抱えている業務量を把握している
  7. 上司に相談しても解決しなかったとき、次に相談できる先がある

3. エンゲージメント・推奨意向(6問)

  1. 親しい知人にこの会社を勧めたいと思う(eNPS:0〜10の11段階で聞く)
  2. 自分の仕事が組織の成果につながっている実感がある
  3. 1年後もこの会社で働いていたいと思う
  4. 仕事に前向きに取り組めている
  5. 会社の方針に納得している
  6. この会社で働いていることを、人に話せる

4. 業務量・働き方(7問)

  1. 現在の業務量は適切だ
  2. 突発的な依頼で予定が崩れることが多い(※逆転項目)
  3. 業務の偏りが、特定の人に集中していない
  4. 休みを取りたいときに取れている
  5. 業務時間内に終わらない仕事を、日常的に持ち帰っていない
  6. 自分の担当範囲が明確だ
  7. やらなくてよい作業に時間を使っていると感じることがある(※逆転項目)

5. オフィス環境・設備(7問)

  1. いまの席で、集中して作業できる
  2. 必要なときに会議室・打ち合わせスペースを確保できる
  3. 執務スペースの音(会話・電話・機器音)が気にならない
  4. 室温・照明が快適だ
  5. 使っているPC・ツールが業務に十分だ
  6. 出社日と在宅日の使い分けが、うまくできている
  7. 出社したときに、話したい人と話せている

「オフィス環境に満足か」ではなく、席・会議室・音・温度・在宅との併用のように分けて聞くと、改善アクションに落とし込めます。

6. 情報共有・意思決定(6問)

  1. 業務に必要な情報が、必要なときに手に入る
  2. 決まったことが、決まった経緯とともに共有されている
  3. 部署をまたいだ連携がスムーズだ
  4. 会社の方向性が、自分の仕事とどうつながるか理解できている
  5. 変更や決定が、実施前に知らされている
  6. 現場から上げた意見が、その後どうなったか分かる

7. 評価・報酬の納得感(6問)

  1. 評価の基準を理解している
  2. 評価の結果について、納得のいく説明を受けた
  3. 評価と報酬のつながりが分かる
  4. 成果を出した人が、正当に評価されていると思う
  5. 評価者による差が大きいと感じることがある(※逆転項目)
  6. 自分の処遇について、相談できる場がある

8. 成長・キャリア(6問)

  1. 成長を実感できる機会がある
  2. 今後のキャリアについて、会社と話せている
  3. 新しいことに挑戦する機会がある
  4. 必要なスキルを身につける支援がある
  5. この会社で、5年後の自分が想像できる
  6. 手本にしたいと思う先輩・上司がいる

9. 人間関係・相談先(5問)

  1. 困ったときに相談できる同僚がいる
  2. 職場で、不快な言動を受けたことがない
  3. 不快な言動を見聞きしたとき、報告できる先を知っている
  4. 部署内の人間関係は良好だ
  5. 異なる部署の人とも、必要なときに関われている

10. 自由記述(4問)

自由記述は1〜2問に絞るのが基本です。多いと空欄が増えます。

  1. いま会社に一番変えてほしいことは何ですか?
  2. この1か月で、仕事がやりにくいと感じた場面があれば教えてください
  3. 良かったこと・助かったことがあれば教えてください
  4. この設問票で聞かれなかったことで、伝えたいことはありますか?

4問目は入れておくと拾い漏れが減ります。設計側が想定していない問題は、ここにしか出てきません。

逆転項目の扱い

「〜ない」で聞く逆転項目を混ぜると、惰性で同じ選択肢を押す回答を見つけられます。ただし入れすぎると読み違えを招くので、全体の1〜2割にとどめてください。集計時に反転を忘れないよう、設問票に印をつけておきます。

設問数はどれくらいが適切か

「少ないほど良い」ではありません。問数は、そのサーベイで何を出したいかで決まります。目安はこうです。

種類設問数頻度回答時間出せるもの/出せないもの
パルスサーベイ(定点観測)5〜15問月1回〜四半期1〜3分変化は分かる。原因は分からない
年次サーベイ(全体把握)30〜50問年1〜2回5〜10分領域ごとの高低が分かる。因果までは追えない
原因特定の深層型診断50〜80問半年〜1年に1回10〜15分どこを直せば何が変わるかまで出る

問数が多いのは、手を抜いているからではなく、因果を追うのに必要だからです。「上司との関係が悪い」で止めず、「何が起きていて(体験)→ どういう状態になり(状態)→ 何につながっているか(結果)」まで並べると、段ごとに設問が要ります。逆に言えば、10問のサーベイに原因特定を期待しても出てきません。

短いサーベイの弱点も同じ理屈です。パルスは変化の検知に強い一方で、下がった理由が分からないので、結局あとから追加のヒアリングが要ります。トータルの手間はむしろ増えることがあります。

離脱を防ぐのは「短さ」ではない

長さそのものより、目的と長さが噛み合っていないことが離脱を招きます。3分で終わると聞いていたのに10分かかる、という食い違いのほうが効きます。

  • 所要時間を先に告知する。「10分かかりますが、原因まで出します」と書いてあれば、10分は長くありません
  • 何のために聞くのかを、経営の言葉で伝える
  • 前回の結果と、それを受けて何を変えたかを先に共有する

3つ目が最も効きます。問数を減らしても、前回の結果を返していなければ回答率は戻りません。本音を控える最大の理由は「言っても何も変わらない」で 35.0%。設問設計より前に、返す設計です。

回答が集まったあとの「深掘りの追加質問」

サーベイで一番もったいないのは、「◯◯が低い」で止まることです。低いこと自体は分かっても、何を直せばいいかが決まりません。

低かった項目に対して、原因を1段掘る追加質問を用意しておきます。次のサーベイに足してもよいですし、該当部署へのヒアリングでそのまま使えます。

「集中できない」が多いとき

追加で聞くこと分かること
集中を妨げるものはどれですか(音/視線/席の確保/通知・チャット/会議の多さ/その他)どこに手を入れるか
1日のうち、集中して作業できた時間はどれくらいですか深刻度
集中したいとき、移動できる場所がありますか設備で解けるか

音なら遮音・席替え、席の確保なら運用ルール、会議の多さなら業務設計と、打ち手がまったく変わります。まとめて「オフィス環境の改善」にすると外します。

「評価に納得できない」が多いとき

追加で聞くこと分かること
納得できないのはどこですか(基準そのもの/基準の運用/説明のされ方/結果)制度の問題か運用の問題か
評価の基準を説明された機会はありましたか周知の問題か
フィードバックの場で、次にどうすればよいか分かりましたか面談の質

「基準そのもの」以外は、制度を変えなくても直せます。ここを分けずに制度改定に進むと、費用をかけて同じ不満が残ります。

「業務量が多い」が多いとき

追加で聞くこと分かること
多いのは総量ですか、偏りですか、突発の多さですか増員か再配分か仕組みか
やらなくてよいと思う作業はありますか(自由記述)すぐ削れるもの
業務量について上司に相談したことはありますか相談経路が機能しているか

「上司に相談できない」が多いとき

追加で聞くこと分かること
相談しにくいのはどんな内容ですか(業務/評価/人間関係/体調・私事)どの領域が塞がっているか
相談したことがある場合、その後どうなりましたか一度目の経験が影響しているか
上司以外に相談できる先を知っていますか迂回路の有無

深掘りの追加質問は、最初のサーベイに全部入れる必要はありません。結果を見てから聞くほうが、設問数を抑えられて精度も上がります。

やりがちなNG設問と、その直し方

ありがちな聞き方何が問題か直し方
上司と職場環境に満足していますか2つを混ぜている(1問1論点違反)分けて聞く
職場に満足していますか満足の中身が人によって違う行動・事実で聞く(例:直近1か月で相談できたか)
あなたはエンゲージメントが高いですか用語の理解に差がある具体的な状態で聞く
会社の理念に共感していますか「いいえ」と答えにくい理念が業務判断に使われているかを聞く
改善のためにあなたは何をしますか会社の課題を個人に転嫁している会社側が何をすべきかを聞く
不満があれば書いてください不満だけ集まり、対応の優先度が付かない「一番変えてほしいこと」を1つ聞く

「答えにくい設問」は、答えが偏るだけで無回答にはなりません。そこが厄介なところで、回収率も自由記述の量も落ちないまま、実態と違う数字が出ます。

サーベイの作り方 4ステップ

  1. 目的を決める:定点把握か、原因特定か。目的で設問数も変わる。
  2. 領域を選び設問化:上記の領域から自社課題に近いものを選ぶ。
  3. 匿名性と告知を設計:何のために実施し、結果をどう返すかを事前告知。
  4. 応答を約束する:集計→共有→改善アクションまでをセットで決めておく。

形骸化させないために

設問をどれだけ磨いても、結果が返らなければ次回から本音は出ません(参考:従業員サーベイはなぜ形骸化するのか)。原因→体験→状態→結果を因果でつなぐ深層型の診断なら、課題の優先順位まで導けます(EXギャップファインダー)。声が届かない構造は なぜ社員の本音は組織に届かないのか をご覧ください。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

サーベイの設問は何問が適切ですか?

少ないほど良いわけではありません。何を出したいかで決まります。パルス(変化の検知)なら5〜15問、年次の全体把握で30〜50問、原因を特定する深層型診断で50〜80問が目安です。10問のサーベイに原因特定を期待しても出てきません。離脱を防ぐのは短さではなく、所要時間の事前告知と、前回の結果を返しているかどうかです。

サーベイは匿名にすべきですか?

本音を集めたい領域では匿名が有効です。ただし匿名だけでは応答の宛先が曖昧になるため、匿名で集めつつ、結果を全体に返す設計が望ましいです。匿名/記名を選べる形が理想です。匿名で集めた声に会社が公式に応答するところまでを仕組みにしたのが組織改善クラウド yellbaです。

設問を作るときの注意点は?

1問1論点にする、満足度より行動・事実で聞く、自由記述を最低1つ入れる、の3点が基本です。そして設問より先に「結果をどう返すか」を決めておくことが、形骸化を防ぐ最大のポイントです。

「集中できない」という回答が多いとき、次に何を聞けばいいですか?

妨げているものを選択肢で分けて聞いてください(音/視線/席の確保/通知・チャット/会議の多さ)。音なら遮音や席替え、席の確保なら運用ルール、会議の多さなら業務設計と、打ち手がまったく変わります。まとめて「環境改善」にすると外します。

オフィス環境はどう聞けば改善につながりますか?

「満足か」ではなく、席・会議室・音・温度・PCやツール・在宅との使い分けのように分けて聞きます。分けて聞くと、そのまま担当部署に割り当てられる形で結果が出ます。

逆転項目は入れたほうがいいですか?

全体の1〜2割なら有効です。惰性で同じ選択肢を押している回答を見つけられます。入れすぎると読み違えを招くので控えめに。集計時の反転を忘れないよう、設問票に印をつけておいてください。

自由記述は何問入れるべきですか?

1〜2問に絞ってください。多いと空欄が増えます。おすすめは「いま会社に一番変えてほしいこと」1問と、「この設問票で聞かれなかったことで伝えたいこと」1問。後者は、設計側が想定していない問題を拾う唯一の経路になります。

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